電気羊

二百三高地の電気羊のレビュー・感想・評価

二百三高地(1980年製作の映画)
3.7
欧米の植民地政策がアフリカやアジアを占領していた明治時代。
ロシアは南下政策により中国を占領、次に朝鮮半島と日本をも支配下に置こうとしていた。
日本政府は、朝鮮がロシアの支配下になれば次の目標となる日本を守るため、日露戦争の開戦を決定する。

ベトナム戦争「ハンバーガー・ヒル」、ノルマンディ上陸作戦「プライベート・ライアン」もそうだったが、「二百三高地」では、日本兵が無残に肉片と化していく様が惨たらしい。

日露戦争の勝敗の要となるロシア軍が要塞で固めた二百三高地を奪取するため日本軍は、長期化した極寒の満州で物資も兵も大量に失いながら泥沼の膠着戦を展開していく。

ロシアは最強のバルチック艦隊を派遣するが、その前に日本軍は二百三高地を落とし、中国湾内で総力戦の準備をしているロシア艦隊を沈めなければならなかった。

多数の兵を失いながらもジリジリと二百三高地へと肉薄していく日本軍は、味方を巻き込む恐れのある白兵弾を打ち込みながら、二百三高地へ特攻をかけた結果。ついに二百三高地を陥落させる。

二百三高地から中国湾内のロシア戦艦を砲撃、撃破。中国に到着したバルチック艦隊は、味方のいない状態で日本海戦で日本海軍に殲滅されてしまう。

その頃ロシアではロシア革命が勃発。国内での治安維持が乱れたロシアは、戦争続行不能のためポーツマス条約で敗戦を批准したのであった。

日本に帰還した乃木将軍は明治天皇に戦利報告をしたとき、最前線で軍を指揮し、多くの英霊たちが寒さと苦痛の中で無残に死んでいった姿を思い出し泣き崩れたと言う。

戦争勃発前、イギリスは大国ロシアが、極東の小国日本に敗戦するとは思っていなかったが、軍資金の足りない日本に対してわざとポンドを貸し出していた。それは日本が負けた時に返済できない軍資金の代わりにロシアと領土分割の目論んでのことだったが当てが外れてしまう。

江戸時代までは藩での争いが盛んであった日本は、維新を経て世界に踊りだし第2次大戦までは極東の盟主であった。
第二次大戦の敗因は、圧倒的な物資を誇るアメリカを敵に回したことだったが、石油輸入を封じ込められた日本は戦争に踏み切らざる負えなかったのが実際だと言われている。

結局、戦争も同じで利のないところに人は動かずなんだよな。
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