イチロヲ

肉体の悪魔のイチロヲのレビュー・感想・評価

肉体の悪魔(1971年製作の映画)
4.0
司祭に恋焦がれるあまりヒステリー症状を引き起こした修道女が、魔女狩りの対象にされてしまう。ルイ13世が統べているフランスにて実際に起こった「悪魔憑き事件」を基にしている、サスペンス・スリラー。

権力を握るようになった司祭を葬り去るべく、政府が悪魔憑き事件を捏造するという内容。修道女たちの奇行は、性的抑圧が原因で発症した集団ヒステリーなのだが、政府はそのことを黙認しながら、見世物としての魔女狩りを敢行していく。

宗教の厳格な習わしにより、破綻を来してしまった信奉者たちのヘンテコな人間模様。そして、彼らの活動が政治権力に利用されてしまう不条理性と喜劇性。ケン・ラッセル十八番の過剰演出が効果を上げており、修道女のムレムレ淫蕩ぶりを楽しむことができる。

端的に言うと、「ここが変だよキリスト教」をテーマにした作品。「宗教(信仰心)は毒にも薬にもなる危険ドラッグと紙一重」「性欲は抑圧させずに、定期的に発散させたほうが良い」というのが、本作から得られる教訓。
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