菩薩

死の王の菩薩のレビュー・感想・評価

死の王(1989年製作の映画)
3.8
相変わらず微かな自殺願望を抱く身として、かつ過去にそれを試みた経験がある身としては、あぁ易々と成功例を並べられたら、それこそ死の王の誘惑に打ち勝てなくなりそうだなどと思いつつ、同時にまぁでもなんだったら死ぬ前に一発かましてから死にたいなぁなどと思う時点で、エロスの神にがっちり護られるなと妙な安心感を抱く。寺山修司が言う様に、この世に純粋たる「自殺」などと言うものは無く、自殺に至るにはそれ相応の「理由」があり、それは基本的には他者から、もしくは社会から与えられるものであり、要するに全ての自殺は他殺なのであると、急に「青少年のための自殺学入門」を思い出すが、何度も言う様に俺は既に31歳1ヶ月であり青少年などでは無いが、性少年であり続けたいとは思っている、なんてことでここでもエロス様と再会。一見幸せそうに見える日本が何故未だに自殺大国であり続けるかって、そんな理由は簡単で、要するに皆が不寛容だからである。誰もが経験しているであろう体の風邪ですら「風邪でも絶対に休めないあなたに!」とか言って、高い効用を謳うCMが垂れ流される社会なのだから、経験者が少ない、と言うかおそらくそれに気づいていない人が多数の心の風邪に対する寛容性なんてのはいつまでたったって養われる訳はない。腹が空いてても喉を通らぬ飯、眠れないのにうなされる夜、動きたいのに動かない体、一回経験してみるといい、インフルエンザより辛いぞ、いややっぱ経験しない方がいいと思う…。死体が朽ちて行く九相図の早回しはめちゃくちゃグリーナウェイっぽいが、そういや松井冬子はどこ行った。とりあえずジョエル=ピーター・ウィトキンとか好きな人にはオススメ。とりあえずわしはまだ死なぬぞ、観たい映画沢山あるからね。
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