いの

バルカン超特急のいののレビュー・感想・評価

バルカン超特急(1938年製作の映画)
3.8
1938年制作の映画。それは1939年の1年前ということだ。1938年の状況をリアルタイムで表しているようにわたしには思えた。序盤に「ブダペスト」とか「バーゼル」とか地名が言及されていたから中央ヨーロッパあたりかと想像したけど、バルカン超特急は、架空の国バンドリカからロンドンへ向かう特急列車のことらしい。とにかくわたしはこの映画で、ヒッチコックがイギリス人だということをカンペキに理解した次第(自慢)(そんなことも今まで知らずにきてしまいました)


雪崩で列車が足止めをくらうところから始まるのだけれど、イギリス人の凸凹バディが可笑しくて、わたしは、このふたりが主役で、きっと新種のホームズ&ワトスン君でわたしが知らなかっただけかと思っちゃった。ヒッチコックってユーモアのセンスも持っていらっしゃるんですね。今作はユーモアがずっと基調としてあって、そこに戦争勃発前の緊張感が加味されているように感じた。ユーモアがあるということが、力強さにもつながり、決して屈しないという態度にも連なっていくのだと思った。伏線はそこにあったのか!という驚きもあるし、止まった列車は自分たちで動かすというチームワークもある。列車が揺れる音(走る音)がとても心地よい。
いの

いの