けんぼー

仁義なき戦い 完結篇のけんぼーのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)
3.7
2020年鑑賞196本目。
正確には前作が「完結篇」。これはもう番外編という立ち位置でも良い気がするなあ。

ヤクザ組織同士の謀略渦巻く抗争を描いてきたシリーズの一応完結篇。
しかし、前作「頂上作戦」の終わり方が美しすぎて、これは必要あったのかなと思ってしまう。売れたシリーズだから制作者側としては続けたいのは当たり前なのかもしれないが。

脚本もこれまでシリーズを担当してきた笠原和夫から離れている。笠原としては前作で物語を完結させたつもりでいたので、手持ちの資料と大まかな流れを高田宏治に渡し、今作は担当しなかったらしい。

物語としては、シリーズ主人公の広能と前作のライバル的存在の武田が出所してからの抗争を描いているのだが、もうすでに前作でピークを越えた感があり、そのハードルを越えられないまま終わった印象。
新たな時代への世代交代もテーマとして持っているのだが、広能たちがギラギラしていたころのエネルギーを見ているからこそ、若い世代のキャラクターたちの活躍を見ても、なんか物足りない。ただ若さに任せて暴れている感じ。

広能たちの、犠牲となった若者たちへのなんとも言い難い感情が哀愁となって物語は終わるが、やはり前作の終わり方の方が美しく、余韻があってよかったように思う。

この後もリブートシリーズなどが続いていくが、笠原和夫の脚本あってこその「仁義なき戦い」だと強く感じたので、おそらく見ないと思う。

2020/11/10観賞