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仁義なき戦い 完結篇の教授のレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)
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基本的なポテンシャルは維持できているのかなぁと思いつつも、蛇足感のある「完結編」。

実質、前作で広能(菅原文太)と武田(小林旭)の無常感は表現されていたので、もはや主役級のキャラクターたちのドラマがない。
加えて、本シリーズの「あるある」でこれまで作中で絶命した役柄の俳優たちが別の役で再登場することで、色々わかりづらくもなっている。
川谷拓三はまぁいいとして、早川は織本順吉に代わり、大友は宍戸錠に代わり、毎回現れては殺される松方弘樹はまた別の役で登場しすぐ死んでしまう。
伊吹吾郎も八名信夫も立場や役柄が変わっていてわかりづらい。

そして「群像劇」としての風合いは変わり、ほぼほぼ松村(北大路欣也)の立身出世譚になっている。
それでも劇映画としての面白さはそれなりにあって、特に松方弘樹が演じる市岡が射殺されるシーンや、松村が襲撃され瀕死の重傷を負う踏切のシーンにおけるアメリカ映画のようなルックのカッコよさはシリーズ中でも実に洗練されている。

ただ広能と武田の物語が前作で見事過ぎるほどに決着してしまった中、再び同じような展開で終わってしまったのは残念。
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