教授

ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌の教授のレビュー・感想・評価

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前作のレビューを読み返して、まるで何も言っていないのと同じような無内容さで驚いた。それに比べてちゃんと書かなければ思いつつ、本作は第1作目と比べれば正直かなりのトーンダウンを感じる。

前作以上にコメディ色が強くなり、映画的に「意外にも」パワフルなバイオレンス要素は減退。
仄めかす程度には、恐怖感を煽るような描写はあれど、基本的には殴り合いのみの暴力描写で残念。

適度にふざけていて、適度に熱っぽい「青春映画」としての独自のバランスも、徹(仲村トオル)や浩志(清水宏次朗)のコンビも前作通りとはいえ、なかなかストーリーの旨味もなく、キャラクターの葛藤も弱い。
むしろ、今回の宿敵となる城東工業のトシ(土岐光明)はなかなか凄みはありつつ、キャラクターとしてはあまり際立たず、またテル(白井光浩)の方が出番は多いがトシとの力関係の差がわかりづらい。

またテルの父親(成田三樹夫)が堂々の登場だが、ワンシーンのみで物語に全く機能せず、均太郎(上野隆彦)とマンモスお妙(ミスA)とのエピソードや、翔子(中野みゆき)など無駄な登場人物が目立つ。
それはヒロインの今日子(中山美穂)も同様で全体的にエピソード機能させるためではなく顔見せ興行のオンパレードといった感じ。

とはいえ物語文脈とは無関係な「アイドル映画」的な文脈でドラマ的なカタルシスとはまるで接続しない「青春映画的」なリリシズムを強調したシーンが挿入される。
正直これも効果的とは言い難いが、いわゆるヤンキー映画的なバイオレンスの泥臭さとは対比して、少なくとも80年代的なモダンさ、あるいはスタイリッシュさが反映されているのは、那須真知子という女性脚本家の手によるところも大きく関係するだろうという面白さがあった。
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