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夏の嵐の河のレビュー・感想・評価

夏の嵐(1954年製作の映画)
4.2
ひたすら人工的かつ美しい絵面で、思い描いていた理想というかファンタジーが叶わない、もしくは叶った瞬間崩れていくところが描かれていくっていう、見てるだけで最高な映画

国や家庭として理想とされていることと個人的な理想の間で葛藤して後者を選ぶけど、けど選んだ先に完全に理想とかけ離れた現実があって、けどそれは逆に男はその望まれた理想を捨ててなくてけど現実の自分がそこと大きく違うから起きたことでっていう、社会に求められている理想像と自分のなりたい理想像、さらに現実の自分との間を葛藤して選んでいった結果起きた悲劇の話だった

シュルレアリスムや印象派と地続きな感じのあるフランス映画と違って、バロックやルネサンスあたりまで遡ってるような絵面がイタリアの監督って感じがした

あと戦争のシーンにゴダールのウィークエンドと共通するような寓話的な美しさと暴力性があって最高

この映画の撮り方やテーマに対して特有の謎カメラワークが入って社会背景をより奥にすればグァダニーノの欲望三部作に繋がっていく感じがあった
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