Habby中野

ライフ・イズ・ミラクルのHabby中野のレビュー・感想・評価

ライフ・イズ・ミラクル(2004年製作の映画)
4.2
生きていることだけが祭だ。愛が抱き合うように線路の上をトロッコが、コロコロ転がっていく。騒ぐ人間割れるグラス、泣く母親ぶっ放す息子乳揉む父親。土地をどこまでもつなぐ鉄道、国を隔てる国境、あちらとこちらをつなぐトンネルはそのところどころで神聖な暗闇を保って、男女はそこをくぐり抜ける。
「速さも感覚も両方大事だ どちらがかけてもだめなんだ」
そんなのは逆噴射ランチャーの方便やと思いたい、民族より人柄さ。ここはヒロシマじゃない。速度ゼロで抱き合うのが愛、或いは光より速く。
戦争の速度は鏡におそらく映らない。サッカーで済ませればよいものを。ならば間抜けなほどに焦らないルカのように、ひとを殺める苦しみを知り愛す喜びを謳いゆっくりとロバに乗る。トンネルを抜けていくスローな後ろ姿に、向こうの明るさとこちらの暗さを知る。
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