Habby中野

この日々が凪いだらのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

この日々が凪いだら(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

「(後ろの卓で醜くはしゃぐグループを横目で見ながら)ああいう人生よりよかったとおもう?」
「あれよりは絶対ましです」
「でもさあ こんな仕事何年続けてても人生変わんねえぞ なんでましだとおもう?」
「あんなアホみたいなやつらと…………ぼくは違いますから」

ドライフラワー─世界と生活の速度差─外側から、不可逆に突きつけられる時代名の変化。その下で、手持ち無沙汰に吸う煙草。この暗さ、詮無さ、鬱陶しさは、どんなドラマよりもアンチドラマで、どんな小さな幸せにも勝るほどに人生だ。
間が悪く、カメラも編集も演技も、説得力のある技量ではない。不完全だ。しかしその不完全さが、画面の隙間から現実の空気感を溢れさせている。
「この先、この道みたいに真っ暗だよ 行き先が決まってればいいのにな」
「でもさ、全部決まってたらつまんないじゃん 小説とかみたいにさ」
青春映画ではない。不完全な人生(アンチ)劇だからこその台詞。狙ったのか偶然か、バス停の標識には「ここから」と書かれていた。
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