あぐり

トゥルーマン・ショーのあぐりのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.5
レンタルで。

何でこの作品を知ったかうろ覚えだけど、とにかく誰かが「トゥルーマン・ショーみたいだな」と発言してて、文脈でそんな監視生活みたいな作品があるのかと思ってリストに入れていた作品。
監視されてるの盛大なネタバレなんじゃないかと思ったけど、最初から作品であると知ってて観てもいいみたいで安心した。知ってても最後のシーンは心に残るものだった。
サスペンスとか好きなので、がっつりヒューマンドラマ観たなって感じもするけど、設定が邪道というか超変化球であることも確か。

一度はこの世界が作り物で、上位の存在が娯楽として楽しんで観ているのではないかとか、脳が水槽に入れられてて、全部電気信号なんだとかいう論を考えたり触れることはあるのではないか?この当時はどうかわからないけど、そういった世界全部作り物論を広めた作品かもしれないなと。わかんないけど。
作り物の世界で生きるトゥルーマンを世界で見守っている人たちを、さらに映画館やテレビで「トゥルーマンショー」という作品を見る私達。もしかしたらさらにその外側にいるかも…ってどんだけマトリョーシカが続くのよ。「何この状況」と観ているときに一瞬思いました笑

トゥルーマンの人生は確かに作り物だったけど、実際に感じたことは嘘じゃないと私も思います。トゥルーマンにトラウマを植え付けたのは運営側だったけど、探検家になりたいというのは植え付けていない。そういう意味ならあのプロデューサー?には同感だったけど、自分が書いたシナリオのまま動くことが真実だという意味なら少しも同調できない。
というかそもそも海の果てに壁があって昔からの友人すら役者だったのに、どういう気持ちで元の生活に戻れるんだよ。もう普通には暮らせないよ。精神がおかしくなる。君より君のことを知ってるとは言ってたけど、やっぱり別の人間だから予想を越えてくる。番組の養子?だったんだっけ。完全に親と子の会話になってるの面白かったな。でもプロデューサーは親どころか神レベルだから、親みたいな顔しながらまったく親ではない笑
自立するという気持ちがこの番組でちゃんと育まれたようでよかったですね。作り物で鑑賞までされてたけど、教育は正しかったかもしれん。

てかハリウッドであれだけの面積のドーム作れる?笑 アメリカならまあ…映画のために小国作れるか…お金も土地も…と絶妙に日本人の私は納得しそうになる感じだった。そういえばなんでシルビアは日本語を勉強してて、トゥルーマン・ショーを見る日本人がいたんだろう笑

冒頭でライトが落下したり、エレベーターの裏、急にボロが出過ぎじゃない?侵入者とか父親役はしょうがないけど、あんなミスを生まれてからずっとしてきたの?ここに映されてる以上に、トゥルーマンは些細なボロをいっぱい見てきたんだろうなって思う。子供のときなんて行動予測できないし特にね。あっという間に全部バレるリスクは全然あったよな〜でも今までも気づかなかったし、これからもバレないよ、という自信があったんだろうね。
エキストラもはや役者どころか役としてそのまま生きなきゃいけないレベルまで来てそう。

妻のメリルの商品の宣伝怖すぎるんだけど、なんであんな露骨な入れ方できたのか不思議すぎる。あれ結構突かれたら痛いところじゃない?リスク負いすぎて。誰に言ってるんだって言われて当然だと思う。メリルが捕まって逆にナイフ向けられたときにこんなの無理って泣いてたけど、仕事で身の危険感じだんだろうけど騙してるのに被害者ヅラするなとは思ったな。
性行為は謎のカーテンといい曲に差し替わってるようだけど、ガチでプライベートの話で、放送してなくてもスタッフ観てるかもって思ったらゾッとするな…時代的に情報がとても大事になってきて、プライバシーとかが尊重されるようになった頃の作品なのかな。

マーロンはいいやつ役だったのが余計に残酷すぎやしないか。嘘はないと言ってくれて嬉しかった感動したトゥルーマンの気持ちに嘘はないのに、嘘だったじゃん…本当に心から信頼してたからこそひどいんだよな。他に好きな人いたけど結婚させられたメリルよりずっとひどい。でもマーロン役の人は役者のプロだとは思いました。良心が傷んでようが自分の気持ちは遠くに置いてこれる。

私が某オーディション番組にドハマリしておりまして、実際レッスンや合宿中の生活をカメラで撮影してるんですよ。これ大丈夫?って思う。編集はめちゃくちゃされてるからたぶん大丈夫なはずだけど。(そう思わないと観てられん)でもあれ精神的にきっとキツいだろうなって。生活すら審査の対象になって見えるし、ちゃんとしないとって思ってるだろうから。
これだけハマってるのはスタッフのどうにか成長ドラマ作ろ〜って思惑にまんまと引っかかっているんでしょうね。トゥルーマン・ショーPの顔が浮かんで腹が立つな…(関係ない)

箱庭でジタバタするトゥルーマンが面白かった。いろいろと考えさせられる設定もいいんだけど、外に出ようとする姿が普通に元気をくれるし楽しめた。車でぐるぐる回ってどこ行くか予測できなくするとか、身代わりを寝かせておくとか、ちょっとした頭脳戦が面白い。フィジー計画は潰されて悔しかったけど、Pを欺いて海に出たときはちょっとスカッとした。24時間監視してたらまあスタッフも注目したりしなかったりすよね。

今回たまたま生きてたけど、本当にPはトゥルーマンを生放送で56してでも止めようと思ったのかな。どっちかというと大きな困難の壁を与えて成長させようとしたという意味が強そうだけどやりすぎはやりすぎだな。

空の壁を触ったときの感情がどういうものなのかさっぱり想像つきません。やりきったジムキャリーはすごいね。なんか道で邪魔をされるとか、シルビアが全部ウソだと言ってたとかそういうふんわりとした情報しかなかったけど、本当だったという希望なのか。それとも今までの人生全部ウソだったというのが確定した絶望なのか。きっとどっちもあると思います。わかんないけど。

トゥルーマン・ショーが終わり、あれだけ盛り上がったのにさっと切り替えてみんな自分の人生に戻り、別の娯楽を見つけるシーン、一瞬なのにすごく印象的だね。実際なんでもそうだと思います。オーディション番組だけ観てその後応援しないとかザラだと思う。皮肉が効いてるね。でもエンタメって残酷なほど消費される性質を持ってる。変えるべきか認めるべきかはわからないけど現時点でそう。作り手のしんどさは関係ない。あれだけの輝きを持ってるのに、いつも残酷の裏にあると改めて思う。
今後私がいろんな映画を消費してもトゥルーマン・ショーが今の私に残したものは真実だし、もしかしたら数十年後に取り出すほど大切なものになってるかもしれない。そうなってるといいなと思い今後も映画をいろいろと観てみます。





お風呂おじさんめちゃくちゃふやけてそう
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