佐藤でした

トゥルーマン・ショーの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.7
保険会社のセールスマンとして毎日を判を押したように過ごすトゥルーマン・バーバンクは、ある日、いつものようにキヨスクで新聞を買った後、一人こちらを見つめて佇むホームレスの老人と出会う。それは幼い頃、海に沈み亡くなったはずの父親だった。しかし、その老人は間もなく何者かに連れ去られてしまう。彼はここから自分の周囲を不審に感じ始める…。

怪しいのもそのはず、トゥルーマンの行動は全て、人気リアリティ番組「トゥルーマンショー」として全世界に生中継で配信されている。誕生の瞬間から30年経った今日まで24時間・年中無休。

その“ドラマ”が動き出したのは、トゥルーマンが憧れのフィジー島へ、つまりは住み慣れた町の外に出たいという夢を真剣に語り始めたからだ。

その野心は“ドラマ”の進行に支障をきたす。さらに、ここはスタジオの屋内であり閉鎖された偽の世界であることを知られてしまう危険がある。
トゥルーマン以外にも、シナリオに沿わない言動や行動をとる人間は排除、あるいは逮捕される仕組みになっている。

なんとも、おぞましい話。

番組の中のエキストラたちも、映画の外の私たち観客も、1人の人間を手の平の上で転がす感覚を共有するわけだ。

自分の住む世界がすべて作り物だったら?しかも監視されていて?隠れる場所がどこにも無い?今までの人生が全て嘘だったと?長年愛した妻は?親友だと思っていた幼馴染は?

この映画は、単なる面白いワンアイデアの「タラレバ話」ではない。
込められたメッセージとはなんだろう。
「知らない方がいいこともある!」なのか、
「自分の殻は自分で破れ!」なのか、
「人の運命は他の誰にも動かせない!」なのか、
ハリウッドからの「お前の目は節穴だ!」なのか。わからないけど。

この番組が、行き着くところまで行き着いた“究極のリアリティ”だってことは確かだろう。
最高だろうさ。24時間ひとりの人間・覗き見観察×プロの絶妙な演出BGM付き、なんて。見ていてとびきり面白いだろうし、朝から晩までテレビに釘付けになるのもわかる。
わかるけど、“END”の時が来たら瞬時にチャンネルと気持ちをパッと切り替えるんだな!観客ってやつわ!そういう生き物なんだよな!
(我が行動を顧みて…)

あぁ、本当に恐ろしい。

ここにあるのは、トゥルーマンの人生だけではない。
彼を近くで見守ってきた家族・同僚・友人“役”のエキストラたちの人生も、
それらを撮影・演出・監督してきたテレビ製作者たちの人生も、
そしてその番組を楽しみにしていた視聴者の人生も、同時に存在しているはずなんだよなぁ。


…3年ぶりとか久々に見たけど相変わらず鋭いパンチを打ってくる傑作。
佐藤でした

佐藤でした