矢吹健を称える会

キャリーの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
3.3
 リメイク版より断然良い。血を浴びるシーンも1回だけだし。

 リメイク版は、キャリー(クロエ・グレース・モレッツ)が超能力を発揮するとき、力をこめてふんばるかのように顔を歪める点がなんとも醜悪に感じられたのだが、こちらは真逆で能力発揮時にはド真顔。目を見開くだけ。個人的にはこちらのほうが断然いい(怖い)。

 まあ変な演出もいくつかあって、ウィリアム・カットがスーツを買うシーンで突然声が早送りになったり、シシー・スペイセクとダンスするシーンで二人の周りをカメラがぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる回ったり(『めまい』のキスシーンへのオマージュか?)違和感を覚えることも少なくない。
 プロムのベストカップル発表のくだりは直前からずっとスローモーション。途中でエイミー・アーヴィングが入ってきて壇上のふたりを見て満足げな表情に……なったかと思いきや何か紐のようなものが天井まで伸びていることに気づき、訝しんでその正体を確かめるべく移動すると先生に見咎められて……という一連のくだりが、ピノ・ドナッジオの抑制の効いた劇伴に煽られながら、終始スローモーションで描かれる。ここは技巧派デ・パルマの戦略が結実した素晴らしいシークエンスだと思う。