ハレルヤ

チャップリンの殺人狂時代のハレルヤのレビュー・感想・評価

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
3.8
この映画3年ほど前に、中古DVDを購入して鑑賞しようとしましたが、まさかのディスク状態不良で見れずに返品した苦い思い出があります。

しばらく記憶から離していましたが、先日BSプレミアムシネマで放送されていたので、リベンジとして初鑑賞。

それまでのコメディアンとしての姿を極力排して、シリアスな作風を提示したチャップリンの野心作。不況からリストラされ、金に困り金持ちの女性を次々と殺害し、金を奪うという凶悪犯を演じています。

そんな役柄のチャップリンですが、本作でもただのサイコパスな役をやるわけではなく、そのバックグラウンドに戦争批判、不況や貧困の現実などをしっかりと織り込んでいるのは、チャップリン映画らしさが出ていましたね。

一方で所々に笑えるような演出を忘れないのも、雰囲気を固くしすぎない絶妙なポイント。特にビンタの応酬やワインの入れ違い、ボートでのやり取りの場面はかなり面白かったです。

法廷やラストでの有名なチャップリンの言葉は、個人的に「独裁者」に匹敵するほどの印象を受けました。それまでほぼサイレント映画で人々の心を掴んできた彼だからこそ、その言葉に重みが感じられます。
ハレルヤ

ハレルヤ