イチロヲ

不良少女 魔子のイチロヲのレビュー・感想・評価

不良少女 魔子(1971年製作の映画)
3.5
自身の無軌道な言動が仇となり、ヤクザの標的にされてしまったフーテンの若者たちが、一寸先が闇の修羅場を切り抜けていく。70年代初頭の不良グループの生態を描いている、青春映画。「八月の濡れた砂」と併せて、ロマンポルノ移行前の日活最終作となる。

この時代の映画に登場する不良は、不良同志でカップリングされるから面白い。「不良カップルの生態」が描かれるからこそ、別世界に生きる人間の異質な日常を垣間見ることができる。不良の男と純粋無垢な美少女がくっつく物語なんぞ、クソ喰らえ。

主人公となる不良少女(夏純子)は、反骨精神のもとにツンツンと尖っているけれど、実態は思春期の少女そのもの。リラックマもどきのぬいぐるみ(?)を持ち歩きながら、何となくヤサグレているところが、良いアクセントになっている。

無軌道な若者の因果応報と自業自得の物語であり、箸にも棒にもかからないという表現ができてしまうわけだが、70年代初頭の空気感を得られるという観点では、貴重な体験を得ることができる。劇中に何度も登場するディスコは「MUGEN」だろうか。
イチロヲ

イチロヲ