みんと

グッドナイト&グッドラックのみんとのレビュー・感想・評価

3.9
ジョージ・クルーニー監督、脚本、出演作品。
知識と教養不足を嘆きつつもそれなりに理解出来る社会派作品だった。

1950年代アメリカで猛威を振るった赤狩り(政府が共産党員及びその同調者を逮捕したり追放したりする行為)。それに大きく反発して真実の報道を貫いた伝説的なテレビキャスター、エドワード・R・マローの実話の映画化。

先ずはダンディズム溢れるメンツの知的な会話にパリッと着こなすスーツ姿、勿論タバコは必須アイテム。出来る男の見本のような佇まいにただただうっとりしっぱなしだった。
...となると台詞を聴き逃し何度も巻き戻しを繰り返すものだから、サクッとな尺も結果通常の時間を要した。

そしてダンディーなおじさま方にはジャズが良く似合う。ピリピリした職場を離れ同僚との息抜きBARでは、やはりムーディーなジャズ、ジャズ、ジャズ、、、

とりわけマロー役デヴィット・ストラザーンの渋おじっぷりは突き抜けてる。
滝クリのおじ様版とでも例えるべきか?斜め45度いや30度?のキリッと見据えたカメラ目線にはゾクッとした。
また決め台詞の“グッドナイト&グッドラック“が実に良く似合う。

決して長いものに巻かれるを良しとせず正しさを貫くには当然リスクも伴う。そんなリアルな側面を描きつつ、また実際の映像も違和感なく差し込みつつリアリティは増して行く。

テレビ離れが加速する今の時代、とは言えまだまだテレビから受ける影響は大きく、あらゆるしがらみの中で真実がねじ曲げられたり、悪意すら感じる印象操作は否めないところで。
劇中で例えられたようにテレビが単なる“メカの詰まった箱”にならない為にも報道の役割、また受け取る側の意識の無さに考えを巡らせた。

総じて硬派な超社会派作品でありながら、どのシーンをとっても絵になるモノクロの映像美を存分に味わい尽くせる、格好良い作品だった。
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