このレビューはネタバレを含みます
スティーブン・キングの原作に忠実すぎるのか、要領こぼさず淡々と物語がスラスラ進む。無駄な贅肉が一切ないというか、物足りないというか。ただ主人公の失った5年の歳月の呆気なさ、過去も未来も見えて現在地を失った風な状況に即してるとも言える。ラストの一言を聞くためだけの受難だったのだ、だからあっさりと呆気ない。クローネンバーグぽさと言えば初っ端のカットからクリストファー・ウォーケンの出立ちがもうクローネンバーグ似の爬虫類感ある風貌であったことぐらいか笑。
ここにきて「ジャッカルの日」に続いて大統領暗殺ものを立て続けに見た。「もしヒトラーが"そうなる前"に殺せたら殺すか?」という問いを勿論だといって実行するのはアメリカンドリームすぎるというか。だってヒトラーがユダヤ人をホロコーストしたのって悪の種を摘むという意味なわけで、この理論がまかり通ってはならないと自分は思った。「炎628」のラストがそうだったように。ひとつに主人公自身の救済の意味もあり、こうでしか彼は救われなかったとも思えるから余計切ないけれど。