ゴダール遺作と併映されたことで思いがけず鑑賞。
静止画を連ねる形式は「ラ・ジュテ」的とも考えられたが、よりドキュメントであるという意味合いが強く思えた。キューバ革命により社会主義を迎え熱狂の渦中である国内をポップに陽気に伝えている。この頃同時多発的に起きた革命の機運は後にフランスでも1968年に五月革命へと繋がっていく。例に漏れず日本にも安保闘争という革命的な熱があった。
キューバそのなかでも先駆けて革命を成功した憧れの的の国だ。それは今作の語り口からしても非常に魅力あふれるものとして描かれている。今作はしかし、キューバそのものと革命がもたらしたものを並列して語っているので、見誤ると革命によって豊かに過ごしてるように見受けられるだろう。そうした危うさも、特に現在の報道自由度下位の一党独裁体制が続くキューバを見ると快く受け入れられないという部分がある。
とは言いつつも、今回だしぬけに観たのでその語り口のテンポの良さ、キューバの人々や生活、伝統、歌、踊り、音楽ですっかりこの熱を疑似体験したのだった。上に書いたことは家帰って色々調べて冷静になってからのことで、観てる間はとても楽しかった。ヌーヴェルバーグに相応しい男女のナレーションの掛け合い(ヴァルダとミシェル・ピコリ)なのが余計に良い。またキューバのシンガー、ベニー・モレの写真を踊らせ歌わせるあの編集のウィットさはみんなハマってしまうのではないだろうか?サントラが欲しい。