予知された未来の犯罪者をあらかじめさばいていいか否か。マイノリティー・リポートやサイコパスの主題とも連なる。無論、そのようなことはあってはならない。将来のファシストへの予防拘禁や私戦予備罪の適用はたとえ法益や公益の観点からも認めるべきではない。むしろそのような行き過ぎた法益の優先を許容してしまうメンタリティーがファシズムの登場を準備していると言える。未来のファシストの始末を目論んだ主人公が星条旗に包まれ転落死するのも決定的に重要。個人の死を賭した行為（殺人未遂）が国家存亡というステージに移行した途端見るものにヒロイスティックなナショナリズムを喚起させつつこれを許容させてしまう。
