三樹夫

モスラ対ゴジラの三樹夫のレビュー・感想・評価

モスラ対ゴジラ(1964年製作の映画)
3.6
善玉モスラVS悪玉ゴジラの単純明快娯楽作品。政官財が癒着して金儲け主義に走る人間の批判もあったりするが、悪いゴジラが暴れるのを善いもんのモスラにお願いして人間のために戦ってもらう対立構図は分かりやすい。しかしモスラさんは寿命残り僅かなところを人間の勝手な都合でゴジラにぶつけられえらい迷惑である。インファント島もズタボロにされるし、さすがに人間共が勝手や過ぎませんかね。卵を巡っての地元民含めての人間のクズっぷりからこいつらゴジラに殺された方が地球の為なんじゃないとすら思える。こういう奴らが後にヘドラを生み出すことを考えたらモスラさんは心を鬼にして静観しとくべきだった。人間からあんな仕打ち受けたのに戦ってくれるとか聖獣過ぎる。

この映画のゴジラは完全な悪玉で、白眉がヤンキーが眉毛剃ってるみたいな不良チックになっているのを筆頭に、鉄塔に尻尾引っかかって転ぶゴジラ、堀に足滑らせて転ぶゴジラ、モスラに尻尾掴まれて引きずられるゴジラ、モスラ幼虫に尻尾噛まれてジタバタするゴジラと、ゴジラがなんか可愛い。悪玉というより不良ぶっている感じがするところが可愛さの一因だろう。山からニュッと顔を出すカットには怪獣としての畏怖があったが、後のゴジラアイドル化の萌芽が完全に出来上がっている。この映画ではコミカルさを意識し、完全に狙ってドジっ子ゴジラの演出がなされている。
自衛隊もゴジラを何とかせねばならんとぶつけてきた作戦がネットで足止めして電撃浴びせるというどこか牧歌的。電撃浴びてのたうち回るゴジラの姿もどこか遊んでる感がある。

実は対ゴジラ成績のいいモスラ。ゴジラVSモスラ幼虫なんて松井VS遠山みたいなもんと、ゴジラはモスラ幼虫を苦手としている。糸吐かれるのが戦いづらいのかな。
三樹夫

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