1964年公開の4作目。快作。
善玉のモスラと悪役のゴジラをはっきり分けたことで、傷付きながら戦うモスラの健気さやゴジラの恐ろしさといった怪獣のキャラクター付けに成功している(正直なんでモスラが人間の味方になったのかよくわからなかったけれど)。
吹っ飛びまくる幼虫モスラに胸が熱くなる。ゴジラの尻尾がよく動いていた。造形の人気が高いのも納得。有名な干拓地からの登場シーンは見応え抜群だった。
ゴジラが唯一黒星を喫した因縁の対決。ただ、成虫モスラとの絡みは、アップの多用が目立ち、やや物足りなかった。尻尾を引きずる所は最高だったが、ああいうダイナミックなアクションがもっと欲しかった。
人間パートは概ね満足だが、卵が生まれる生まれないのサスペンス要素はもう少し組み込めたのではないかと思う。インファント島民がトリリンガルなのは笑った。
現実(日常パート)と非現実(特撮パート)の使い分けが怪獣映画の基本だが、偶然にも?その構造に揺さぶりを掛けることに成功しているのが終盤の自衛隊の攻撃シーンだ。爆撃を受けたゴジラ(のスーツ)に炎が燃え移り、明らかに炎上しているにも関わらず、気にも留めない様子で進撃を続ける。劇中のゴジラ(非現実)と、ゴジラスーツ(現実)の迫力が完全に一つとなり、破壊の化身として暴れまわるという感動。偶然の産物かもしれないが、鳥肌が立った。71点。