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オテサーネク 妄想の子供のbennoのレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
4.0
ヤン・シュヴァンクマイエル監督作品…初鑑賞です。

チェコはとても魅力的な国で長い間共産圏世界で抑圧があった為か、世界でも有数の無宗教国家…。神の世界よりも精霊・仮想の力を信じ、多くの精霊伝説や民族神話が伝承されています。今作も『食人木』という寓話をモチーフにした作品…。


子供が授からず精神的にも参っているホラーク夫妻…。

冒頭から奇妙奇天烈…夫カレルの幻想…屋台で売られている赤ちゃん!! 水槽から網で赤ちゃんを掬い取り新聞紙に包んでお客に手渡します…。

妻ボジェナは嘘の妊娠を周りに吹聴…夫は悟られないように妻を別荘へ連れて行きます…そしてそこで妻を気遣い、木の切り株を赤ちゃんに見立てプレゼント…「オチーク」と名付けます。

やがてその切り株に命が宿り、人間の赤ちゃんのように…泣く、暴れる、とにかくよく食べる…そしてどんどん大きくなり…果ては……。

ストップモーションを使って切り株赤ちゃんがいかにも人間の赤ちゃんのように…ただリアリティは希薄でキモいです….BGMのような赤ちゃんの鳴き声がとてもシュール…。

そして同じアパートに住むシュタードレル家…この家の食事がとにかく不味そう…不快な食事描写もグロテスク…。

ひとり娘はちょっぴりムチムチなアルジュビェトカちゃん…常に読む本は性に関するもの…そんなおませな彼女のスカートを階段の下から覗き込む…度のキツい眼鏡をかけたロリコンお爺ちゃん…笑いと嫌悪のギリギリのラインです…嫌いじゃないですが…。



  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜









そして切り株赤ちゃんは、アルジュビェトカちゃんが読んでいる民話『オテサーネク(食人木)」の話にそっくり…彼女だけが赤ちゃんに不信感を抱きます。

食欲旺盛なオチークは郵便配達員や福祉事務所の女性など、家に訪ねて来る人まで食べちゃいます…とうとう持て余した夫婦はオチークを地下室に閉じ込めてしまいます。

それを知ったアルジュビェトカちゃんはオチークの為に食べ物を運んだり世話をするように…そして仕舞いには、いつもイヤらしい目で見るロリコンお爺ちゃんを招き入れ生贄にさせるのでした…。

そして凶暴化した切り株赤ちゃんのオチークは制御不可能に…管理人のキャベツ畑を荒らし…とうとう……。


設定自体は珍しくは無いですが…ここまで人物が狂っていてエログロで気持ち悪い作品にはビックリ…。ただ…癖になりそう…。


thanks to ; ちぃしゃ〰︎ん .•*¨*•.¸¸♬✧
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