明石です

彼岸花の明石ですのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.3
「自分で自分の幸せ、探しちゃいけないんでしょうか?」

主題がひとつの家族の「結婚」の話から外に出て行かない、社会的な広がりを持たないなど、当時は批判されていた小津が、おそらくはその批判に応えたのか、それぞれ横のつながりを持つ二、三の家族を「拡大家族」的に描いた異作。娘を「片付け」たいけど、恋愛結婚には反対し、お見合いを求める父親だが、いざ嫁ぐと淋しくて、、といういつもの主題ながら、それが横に広がり、絡まり合っているのはやはり貴重で、小津初のカラーであるという以上に価値のある作品かもしれない。佐文利伸演じる父親が、休日自宅にいる際も、ジャケット×パンツの格好で、それも思いきり腰上でベルトをしているのがたいへん格好良い。こういう細かなプライドが、日本的ブルジョワのあり方だったのかななど思ったりした。
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