イチロヲ

任侠秘録人間狩りのイチロヲのレビュー・感想・評価

任侠秘録人間狩り(2005年製作の映画)
3.0
アウトロー精神を昂ぶらせている中年男が、婦女子誘拐事件の中枢部に乗り込むべく、新宿から熱海までの大移動を決行する。マルチタレントの杉作J太郎が、自らの生活を切り詰めながら製作した、インディーズ映画。

製作陣の「映画製作にかける気持ち」を受け容れるためのリテラシーが試される作品。出版業界とサブカル界隈に精通している杉作氏が、独自の観察眼を利用することにより、「劇映画では見られない人物たち」をキャスティングしている。

主演を務めているのは、70年代の独立系映画を牽引したベテラン、飯島洋一。端役では、しまおまほに詰め寄っていくロマン優光が、現代日本に潜んでいる本物のアウトサイダーを具現化している。

例えるならば、アマチュア団体による街頭プロレスを生観戦しているような感覚。高度な試合はできないけれども、現状の200%を出し切ることで観客を楽しませてくれる。杉作J太郎への個人的な思い入れもあるだろうが、彼のクリエイト精神に乾杯したくなる。
イチロヲ

イチロヲ