ひでG

逢びきのひでGのレビュー・感想・評価

逢びき(1945年製作の映画)
4.2
映画の教科書!

子どもの頃に、確か、日曜洋画劇場?で
観た記憶がある、

と言うか、ラスト、深い愛情を示す夫の
言葉は、ずっと覚えていた。

妻が別の男性に恋をして、
戻ってきた時に
こんな言葉を発せられるとは、、

と、感動したことを今でもはっきり覚えている、

子どもの頃、こんな大人の映画を観ていたとは、我ながら、、すごいガキ?😃


さて、半世紀?近く経って再見した本作、

こんなに見事な作品とは思わなかった!

中年カップルの数週間の恋のお話、

しかも、65年も前の90分弱の一見ありきたりな作品。

でも、この中には、

「映画とは何か。」

「どんな表現方法がより映画的であるのか!」という原点が詰まっている!


まずは、ファーストシーンとラスト(厳密にはラストではないけど)が同一場面。

これは、今でこそ、当たり前に作られている手法だけれど、

同じシーンでも、観客が、

物語を、登場人物を深く知った終盤では
全く違った場面になるという手法。

ある人物の登場が、
今、まさに別れの時を向かえる二人にとって、何と邪魔な存在になっているかを、
観客も二人と一緒に感じることができるのだ。


恋愛映画の大切な要素の一つである、
「愛する二人とその周りの人々の関係性」

この映画は、駅の待合い喫茶店の人々のおしゃべりをそのまま映し出している。

愛する二人の目には、耳には、全く意味のない、入ってこないもの。

二人が愛すれば愛するほど、外の世界は、後退していく。外の世界を見せることで
二人の接近度を表しているのだ。

駅での光と影の演出。
出会いのきっかけだった、汽車の煙、
列車の発車音や進んでいく汽車のアップ

全ての描写が二人の微妙な心の揺れや決断を表したいる。

二人が初めて本格的に自分のことを話す時、
真剣に自分のことを話す医師とそれをじっと聴く奥さん

その瞬間に、一気にお互いへの愛が高まる場面も見事だ!

「恋が生まれた瞬間」を捉えたシーンとしては、
「ララランド」と並び、映画史上に残る名シーンだと思う。


映画をあらすじだけで観ている人には分からない、深い味わいのある名作です!
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