映画の教科書!
子どもの頃に、確か、日曜洋画劇場?で
観た記憶がある、
と言うか、ラスト、深い愛情を示す夫の
言葉は、ずっと覚えていた。
妻が別の男性に恋をして、
戻ってきた時に
こんな言葉を発せられるとは、、
と、感動したことを今でもはっきり覚えている、
子どもの頃、こんな大人の映画を観ていたとは、我ながら、、すごいガキ?😃
さて、半世紀?近く経って再見した本作、
こんなに見事な作品とは思わなかった!
中年カップルの数週間の恋のお話、
しかも、65年も前の90分弱の一見ありきたりな作品。
でも、この中には、
「映画とは何か。」
「どんな表現方法がより映画的であるのか!」という原点が詰まっている!
まずは、ファーストシーンとラスト(厳密にはラストではないけど)が同一場面。
これは、今でこそ、当たり前に作られている手法だけれど、
同じシーンでも、観客が、
物語を、登場人物を深く知った終盤では
全く違った場面になるという手法。
ある人物の登場が、
今、まさに別れの時を向かえる二人にとって、何と邪魔な存在になっているかを、
観客も二人と一緒に感じることができるのだ。
恋愛映画の大切な要素の一つである、
「愛する二人とその周りの人々の関係性」
この映画は、駅の待合い喫茶店の人々のおしゃべりをそのまま映し出している。
愛する二人の目には、耳には、全く意味のない、入ってこないもの。
二人が愛すれば愛するほど、外の世界は、後退していく。外の世界を見せることで
二人の接近度を表しているのだ。
駅での光と影の演出。
出会いのきっかけだった、汽車の煙、
列車の発車音や進んでいく汽車のアップ
全ての描写が二人の微妙な心の揺れや決断を表したいる。
二人が初めて本格的に自分のことを話す時、
真剣に自分のことを話す医師とそれをじっと聴く奥さん
その瞬間に、一気にお互いへの愛が高まる場面も見事だ!
「恋が生まれた瞬間」を捉えたシーンとしては、
「ララランド」と並び、映画史上に残る名シーンだと思う。
映画をあらすじだけで観ている人には分からない、深い味わいのある名作です!