Maoryu002

罠のMaoryu002のレビュー・感想・評価

(1949年製作の映画)
3.9
35歳のボクサー、ストーカー・トンプソン(ロバート・ライアン)は妻ジュリー(オードリー・トッター)の反対を押し切り試合に臨む。その試合は八百長が仕組まれ、ストーカーは負けを強要されるが、逆に奮起してボクサー人生を賭けて相手に向かっていくのだった。

「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」のロバート・ワイズ監督にしては珍しく、泥臭いスポ魂にして夫婦愛を描いた作品だ。
リアルタイムで物語が進行する作りも面白い。

控室でボクサーたちが語るボクシングへの思いと、それぞれの生き様がすごくいい。彼らが語り、それをストーカーが聴いている場面が一番好きだった。
そのボクシング会場と、外を歩き回る妻の対比描写も絶妙で、ストーカーの情熱と妻の愛情の辿り着く結末を想像させる。

結局、試合に勝つことは彼にとって人生の転機となり、ジュリーにとっても愛を取り戻すきっかけになる。
この痛々しくも温かいラストが大好きだ。

老いた自分との戦いに情熱をぶつける姿は、ダーレン・アロノフスキー監督の「レスラー」と重なった。

「日本人の勲章」「ワイルドバンチ」であまり印象に残らなかったロバート・ライアンがすっごいカッコいいんだけど、妻ジュリー役のオードリー・トッターが全くインパクトないのが残念。
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