KnightsofOdessa

罠のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

(1949年製作の映画)
4.0
[We both won tonight] 80点

1949年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。劇中の進行時間が現実と同じのが特徴らしいが、途中でこれ見よがしな演出がないのでラストで時計見せられても"ほう"としか反応できなかった。スターリング・ヘイドンかと思ったらロバート・ライアンか。八百長試合を蹴散らす中年ボクサーの一夜をリアルタイムに描いた作品。男たちが控室で夢を見ている間、妻が夜の街を彷徨う様が良い。ヤロミル・イレシュ『The Cry』とかシュテファン・ウヘル『The Sun in a Net』で観た好きな手法。個性的な観客たちの"もっと血を見せろ!"が"ストーカーやっちまえ!"に切り替わり、人の消えた会場や路地裏がノワール的な陰影に彩られ、全てを見下ろすモーテルから女神が降りてきて、夫婦それぞれの夢が順番に叶う。必要な要素のイデアを全部詰め込んだ、これ以外に考えられない大域的最適解みたいなボクサー映画だった。あと、主人公の汗拭いてくれる人、ハゲてるし綿棒が髭に見えてきて、丹下段平にしか見えなかった。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa