ジャックウォーデンがとことん卑劣だし恐ろしいまでに喧嘩が強い。与太者のボーホプキンスにムカついて腎臓あたりを集中的に殴打、そのためほとんど再起不能。ネイティブに襲われれば金が惜しくてレイプに誘導、レイノルズとの格闘シーンがまた激しいのなんの。殴り合い取っ組み合いが重厚で圧巻。強盗仲間の団結力皆無で野蛮。そんななか訳ありレイノルズはもちろんロマンスパートをがっちり抑えている。身ぐるみ捨てて男物に着替えて水浴びしたあたりからさらに輝きはじめるのは恋に落ちたから。誘拐された妻の安否より名誉が大事な夫役がジョージハミルトンなのがまた最高。河を挟んだ向こうのネイティブの集落地に向かう様子や、脚が嵌まった馬の血で染まった雪を掘り起こす場面とか、あんな廃墟で作れちゃうシチュー。腹撃たれたけどハッピーエンディング股間外れたなら大丈夫、レイノルズって感じで嫌いじゃない。あと様々なアイテム見せてくれるオープニングタイトル好き。全部欲しい。

バート・レイノルズとジャック・ウォーデンとボー・ホプキンスの強盗団がうまくいくはずもなく、そのゴロツキの集まりがサラ・マイルズを誘拐すると更にギクシャクしだして、保安官に追われ、ネイティブ・アメリカンと殺し合い、その流れで仲間割れしてと物語がダウナーに転がり続けていくのが最高。王道西部劇よりキャラクターが人間臭くて現代的で、70年代のニューシネマな寂しさ、どん詰まり感に支配されていのは紛れもなくリチャード・C・サラフィアンのフィルム。
撮影中にサラ・マイルズのマネージャー兼恋人が自殺したが、その自殺ってのが実はあやふやでバート・レイノルズが関わっていたのではないのかみたいなハリウッド的暗黒面があったりして、レイノルズはこの作品についてはノーコメント。
シナリオはエレノア・ペリーなので女性の西部劇として、どうにか見えないこともないが、シナリオはめちゃくちゃにされたらしく、ペリーが描いたままの世界だったなら、どうなっていたんだろうとか考えてしまうのもまた楽しい。
70年代の乾ききった暴力や、報われない負けの美学が好きな人ならたまらない一本だと思う。

撮影:ハリー・ストラドリングjr
アクション監督にハル・ニーダムの名がある。

70年代末期西部劇の中でも見応えのある方。ボー・ホプキンスやウォーデンら一味が最初から仲悪くて破滅の予感に全編覆われている。西部劇特有の画面を埋め尽くす大きな空も曇天が多く、寒々とした雰囲気を出すのに貢献していて独自性がある。また、逆光を利用したロングショットも良い。インディアンの居留地において、追跡してきた保安官たちが後景の稜線から登場してくる画など単純にかっこいい。

エピソードの描き方も丁寧。バート・レイノルズとウォーデンの殴り合いは突然手持ちカメラになるのでインパクトがある。

それだけにラストは取ってつけたような楽天性で拍子抜け。フェミニスト大激怒では？？