炭酸煎餅

電送人間の炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

電送人間(1960年製作の映画)
3.0
「美女と液体人間」に続く「○○人間」のシリーズだそうですが、こちらは液体人間よりさらに特撮要素は薄めで、2時間サスペンスにSFギミックを足した感じ。物体(人間)をテレポートさせられる機械を利用して連続殺人を行う狂信的な復讐者を警察と新聞記者が追う、という展開なのですが、機械は実質アリバイトリックと逃走の為のギミックとして使われているだけなので、これがSF装置じゃなくて物理トリックだったら普通にミステリでありそうな話だよなあ、という印象を受けました。(暗さ・おどろおどろしさは薄めなので前作のような乱歩っぽさはあまり無いですが)

事件の発端が終戦時の出来事で、狙われる側は軍資金の横領を企み、それを止めようとした人間を暴行した上生き埋めにして逃げたという後ろ暗い過去を持つ卑劣漢、狙う側の動機もどちらかというと殺されかけた恨みつらみよりも「お国を裏切った者」は許せないという忠誠心や報国の念が原点という、終戦後わずか15年という時代性を反映した背景事情が特徴的で見どころな作品でもあると思います。(あと「軍国キャバレー『大本営』」ですよね……w 店名はともかく、こういった趣向のお店って実際にそこそこ存在してたらしいです)

今観ると地味な印象を受けるかもしれませんが、こういった時代の見える犯罪サスペンスを味わうのも趣があるのではないでしょうか。
炭酸煎餅

炭酸煎餅