オザキ

イップ・マン 序章のオザキのレビュー・感想・評価

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)
3.5
近年では「イコライザー」や「ジョンウィック」に代表される様な、いわゆる[主人公最強]系アクション映画の中国版ですかね😆ただし、他の作品とは一線を画す特徴があります(以下言及)。

<あらすじ>
中国広東省の町、佛山には詠春拳の達人イップ・マン(葉問)が住んでいた。ある時、町が日本軍に占領され生活が一変。しかし、イップ・マンが拳法から離れることは無かった…。

「主人公最強」系映画には決まった”黄金律”があります(あくまで個人の主観😅)

①敵が主人公を煽る・恨みを買う(←死亡フラグ)
②主人公が怒る
③敵をぶちのめす
④<以下繰り返し>

冗談抜きでこの通りの流れを辿るので、是非とも覚えておきたいです。当然今作も、もれなくこの流れに沿ってきます。重要なのは、「他の映画とどこが違うか」という点です。特に①の初手に関して言えば、「イコライザー」では女の子が暴行され、「ジョンウィック」では愛犬が殺され、「ボーン」シリーズでは妻が殺される訳です。この鬱展開があってこそ、主人公覚醒→敵ボコボコ→スッキリ となるのですが、あまりに「鬱」が過ぎると観客に嫌悪感を与えるため絶妙なバランスが求められます。

そして、もうひとつのポイントは敵のボスキャラ。この手の映画ではラスボスが小物である事が多く、意外にあっさりとやられがちです。そもそも主人公の逆鱗に触れた時点で死亡フラグ建設してる訳で、観客サイドとしても「早くそいつボコボコにして!」と願ってますから致し方ない事でしょう。

その点「イップ・マン」はなかなかに秀逸な構成だったと言えます。理不尽な行いを続ける将校「佐藤」はまさに小物といった感じで、観客の恨みや反感を一手に引き受ける役回り。「鬱」の大きさは割と絶妙なラインだと感じています。素晴らしいのは、この小物将校をボスに据える事はせず、「三浦」将軍というキャラを作った事でしょう。「三浦」は武道精神を重んじ、ひたすらに強い相手との真剣勝負を望む強敵。強烈なインパクトとオーラを兼ね備えた池内博之さんの演技には脱帽です。ここまで魅力的なラスボスもそうそう見かけません。


映画の最終局面では、「日本の武術」vs「中国拳法」という互いの威信と誇りをかけた戦いへと昇華させます。こんなに上手い終着点を見つけるとは…!!最後の最後まで楽しませてもらいました😊

ただ、山賊のカムとか弟君のその後とか…若干中途半端で映画が終わってしまった印象もあります、続編以降で語られるのかな?🤔今後に期待!!
オザキ

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