butasu

アンダーグラウンドのbutasuのレビュー・感想・評価

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)
4.0
凄すぎる。観終わった後、あまりの余韻に言葉も出ない。これがユーゴ紛争の真っ只中に撮られた映画だというからまた凄い。

本作はブラック・コメディであるが、同時にユーゴスラビアの50年間を描いた一大叙事詩でもある。内容は終始コミカルで狂騒的で不穏だ。微笑ましいような愚かで浅ましいような、何と表現したら良いかわからない感情に襲われながら観続けることになる。

そして一つ一つの場面設計が完璧。役者、キャラクター造形、物語展開、セット、演出、そして騒がしく盛り上がるユーゴ音楽、どれをとっても素晴らしい。正直、あまりに圧倒されてしまって、具体的に何を書いたら良いのかわからなくなっている。

全員が辿る悲惨な運命と、だからこそ輝くあのラストシーン。「許そう、だが忘れない」「苦痛と悲しみと喜びなしでは、子供たちにこう伝えられない。『むかし、あるところに国があった』、と」。
butasu

butasu