ボブおじさん

がんばれ!ベアーズのボブおじさんのレビュー・感想・評価

がんばれ!ベアーズ(1976年製作の映画)
3.8
最近ではアメフトやバスケに人気を押され気味ではあるが、それでもアメリカは野球の国だと思えるほど野球を題材にした映画や小説が圧倒的に多い。そしてその出来栄えも残念ながら日本のそれよりも明らかにいいものが多い。

この映画は初めて1人で見に行ってパンフレットまで買った映画だと記憶している。中年おじさんのウォルター・マッソー主演のこの映画を見に行ったのは、自分と同年代の弱小野球チームの奮闘を描いているストーリーが面白そうだったのとヒロインのテイタム・オニールが可愛かったからだろう。だろうと書いたのはその時の正確な心情は既に忘却の彼方に消えてしまったからだ。

ただ映画が面白かったことだけは間違いなく記憶している。ストーリーはいかにもありがちなダメチームの奮戦記だが、それを上手に描いている。スポーツ映画が苦労するのは、実際の試合が映画以上にドラマチックであることもある為、さじ加減が難しいところだと思う。

ドラマチックに描きすぎると嘘っぽくなり抑えめに描けば、今回のワールドカップや大谷翔平のように、現実が軽々と映画を超えてくる。だが、現実の試合では不可能な省略を上手く使い、ゲームのポイントを手際よく紹介してクライマックスへ持ち込めれば面白いスポーツ映画が作れることをこの映画が教えてくれる。

特に愛すべきベアーズのメンバーのダメっぷりを手際よく紹介していく演出は笑いながらも感心するし、エースピッチャーを女の子にしたり不良のスラッガーが助っ人として加わっていく展開はベタではあるが、ワクワクさせられる。

純粋に野球の楽しさを描きながらアメリカらしいエールのやり取り、チーム内の人間ドラマやお荷物の子のファインプレーも過不足なく盛り込んで小粒ながら楽しい映画に仕上げている。音楽に〝カルメン〟を使っているのも盛り上げに一役買っている。

ただ久しぶりに見返してみて、当時のワクワクする気持ちは鮮明に甦ってきたのだが、なぜテイタム・オニールを好きになったのかは最後まで思い出すことが出来なかった。もしかしたら、その容姿よりも男子に向かって真っ向投げ込むその姿にシビれたのかも知れない。

公開時に劇場で鑑賞した映画をDVDにて再視聴。