ずどこんちょ

がんばれ!ベアーズのずどこんちょのレビュー・感想・評価

がんばれ!ベアーズ(1976年製作の映画)
3.8
日曜日に日曜日らしい映画を見ました。

弱小少年野球チームの新任監督になった酔っ払いの元プロ野球選手バターメーカーと、弱小少年野球チームの活躍を描いたほっこりするコメディドラマです。
スポーツ映画の名作なのですが、チームメイトのデコボコ具合はこういう弱小チームを勝利に導く系の映画ではお約束。
身体は小さくても喧嘩っ早い子に、練習の合間にチョコを食べちゃう太った子、大人しくていつもいじめの標的になる子に、分析が得意な子……。
それぞれの特性を生かしてチームを勝利に導くのかなぁと思いきや、バターメーカーは凄腕ピッチャーの女の子や運動神経抜群の不良少年をスカウトしてチームの基本戦力を底上げします。
敵チームをバッタバッタとなぎ倒す強力ピッチャーの女の子アマンダを演じたのは『ペーパー・ムーン』のテイタム・オニール。少し成長したようですが、相変わらず芯の通った目をしてらっしゃる。途中から加入した女の子や不良の大活躍は、これまでチームでたるんでいた選手たちの嫉妬心にも火を付けたようでした。

クライマックスのライバルチーム“ヤンキース”との一戦は目が離せませんでした。まるで高校野球を見ているかのように興奮しましたよ。
途中で敵ピッチャーが暴力を振るった監督に歯向かってボイコットした時は実に痛快でした。
その前でもバターメーカーが“べアーズ”の勝利だけに固執して少年たちを駒で使うような非人道的な扱いをしていた場面があります。
直後にバターメーカーは敵ピッチャーと監督の対立を見て「子供たちは傷つきやすい」ことを改めて自覚するのです。
大人として子供たちとどう向き合い、どう振る舞うのか。呑んだくれて子供を駒のように扱い、暴言を吐いて怒鳴り散らすことが野球少年たちのモデルとなって良いのか。
“べアーズ”との関わりはバターメーカーや私たちにとっても大人の振る舞いを見直す良い機会となったでしょう。