ずどこんちょ

ウェディング・ハイのずどこんちょのレビュー・感想・評価

ウェディング・ハイ(2022年製作の映画)
3.4
ある一組の結婚式の裏側で起こっていたドタバタ劇を描いたコメディです。
結婚式版の『有頂天ホテル』と言ったら、分かりやすいのかもしれません。あぁいう展開が好きな人はきっと大好物です。

様々な準備を整えて、晴れ舞台を迎えた一組の新郎新婦。
ところが招待した客やスピーチを依頼した客が曲者揃い。新郎の上司としてスピーチを依頼された男はこのスピーチに自身の威信をかけて臨みます。開演VTRを担当した映像ディレクターは自身の好みのフランス映画調をふんだんに盛り込んだ独特な映像を披露し、乾杯の挨拶を頼まれた新婦の上司はウケを取ることにプライドをかけています。
結果、この3人の時間で押しに押されてしまいます。しかし新郎新婦は余興を含めて全員に予定通り協力してもらいたい。
そうなると、予定時間より1時間分の短縮が必要となります。ここでプランナーの出番です。プランナーの中越は新郎新婦の願いを実現させるべく、皆で団結して困難に立ち向かうのです。
ちょっと無理のあるプランなのも面白い。3分でケーキ入刀終わりって…

参加者たちのそれぞれの思惑やここに至るまでの経緯も描かれていて、彼らの背景や心境が分かりやすかったです。なぜそこまでスピーチに熱が入っているのかとか、なぜ余興にこだわっているのかとか。
だからこそ一つ一つの舞台が成功に導かれていくのが彼らの達成感が伝わってきて素敵です。
しかし、それが結婚式というもので、新郎新婦は元より、参列者も一人として欠かさず満足させることが求められるのでしょう。プランナーさんたちは本当に大変だ。

脚本がバカリズムなのですが、披露宴が無事に終わってひと段落したと思ったその先に、もうひと展開があったのはさすがと思いました。
分かってる!そうですよね!あれでハッピーエンドだ、いろいろあったけど上手く事が運んで素敵な結末だで終わっていたら物足りなかったです。
実はさらにその裏側にもう一つのドタバタ劇が生まれていたという仕組み。

そのもう一つのドタバタ劇の中心を飾るのは、新婦を式場から奪いに来た元カレと、式場に潜り込んだ泥棒です。
もはや式とは別の舞台で起きていた事件。しかし、この元カレにもまた新婦に対する並々ならぬ思いと、思いがけない事件との遭遇が展開されるのです。
結婚式とは、内側も外側もドタバタと忙しいものです。ただ、本当に思いもよらないところで、影ながら様々な人々が支えてくれて初めて新郎新婦の幸せが形作られるのだと感じられました。