りえぞう

それでもボクはやってないのりえぞうのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
4.0
紛れもなく、主人公は「やってない」のにそれが通らない。
痴漢犯罪は冤罪が多く、証拠も被害者の証言だけ。不十分な証拠に誘導尋問。
警察や検察の在り方、裁判所の在り方を問題提起した衝撃的なストーリーでした。
役所広司さん、瀬戸朝香さん演じる正義感溢れる弁護人の解説はわかりやすく、法曹三者のそれぞれの視点や、裁判所の実態を知ってしまった当番弁護士の心情も描かれていて考えさせられました。
1人目の公判担当裁判官が語った、刑事裁判で大切なのは無罪の人を罰してはならないこと…のセリフが印象的。真実を明らかにすることが当然のことなのに、それがままならないとは本当におかしい。
しかしラストの判決理由は、弁護側からすれば、まさに言いがかりのように聞こえるのだが、人は悪い状況を想像する方が容易なのだろうし、置かれた立場が違えば、同じ状況でも違う解釈をしていたり、時間が経過すれば記憶は薄れ、自分の都合のいいように証言が変化しかねないことを思うと、判決の難しさも感じました。
ラストの被告人の声が心に残る、見応えのある映画でした。
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