冒頭の夜が明けてからの一連の演出良かった。エンニオ・モリコーネの青春の哀切が溢れるような曲とマッチしていて。
不穏な映画でばかり見かけるオリヴァー・リードとファビオ・テスティが、なんとも微妙な距離感を詰めていく設定の妙。奥さんを誘拐された刑務所長のリードと、その奥さんと引き換えに脱獄することになる囚人のテスティ。でもテスティもなんで自分が脱獄することになるのか、理由をわかっていないという複雑な状況。
犯罪の実行犯が下請けの下請けだったりするので、なんでそういう命令が下っているのか知らないままやっている。加害者も被害者も、自分が事件に巻き込まれた理由がわかっていない人ばかりで、全然連絡がうまくいかないし、誤解も多い。
最後の無力感が大きく、日本でいえば桜の代紋ってやつが最悪の強敵という。リードの涙目と、そこで引いたらリードが可哀そうですよ、という奥さんの態度。