真魚八重子

どん底 4Kレストア版の真魚八重子のレビュー・感想・評価

どん底 4Kレストア版(1936年製作の映画)
3.7
ゴーリキーの原作は未読。黒澤明版の『どん底』も出だしが違うし、どこを脚色しているのか不明な状態。ルノワールの方がかなり話をつけ足しているんだろうか。
前半は賭博の依存症の男爵の物語。彼が木賃宿に住む泥棒のジャン・ギャバンと知り合い、ちょうど破産したので自分も長屋に住むことにする。そこから男爵は群像劇の一人に引っ込むので、バランスは無茶苦茶な映画だ。
ジャン・ギャバンと、悪女と善女の姉妹との恋が主軸にあり、姉は妹に男を取られたと思い、ギャバンと妹を憎んでいる。木賃宿の中で人殺しが起こると、また中庭を挟んで人々がグルッと二階まで取り囲むような人の層ができる。狂気じみた人ばかり。

ルノワール版が一番幸せなお話になっていて、それもどう転んでもおかしくない展開の中で、結構強引に幸福にした印象。
真魚八重子

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