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疑惑のminamiのレビュー・感想・評価

疑惑(1982年製作の映画)
3.0
PINTSCOPEで八巻綾さんという方がこの映画を女性同士の連帯を描くシスターフッド作品だと取り上げていたので観た。
ご自身の体験も交えながら、とても素敵な表現で書かれていたので記事自体が魅力的で、思わずその日のうちに観た。

観て、なるほど、と思った。
記事である程度ネタバレしていたためまっさらな目線ではなかったと思うけど、でも私もこの映画は確実にシスターフッドを描いたものだと感じた。
記事を読んで一番「このシーン観てえ…!」と思ったワインぶっかけ攻撃なんて、とても高まった。

このシーンについて、八巻さんは「当時より少しだけ女性の社会進出が進んだいまならば、互いにワインまみれでゲラゲラと笑って抱き合う親友同士になれたのかもしれません」といっていたけれど、どうだろうか。

そうであればいいと思うし、そうなった2人はよりそれぞれの力を強固にできるだろうと思うけれど、2人はあくまでも弁護士とその依頼人という関係性であり、球麿子には律子の寂しさはあまり見えていないんじゃないかと思う。

女性同士というのは不思議なもので(男性同士もそうなのかもしれないけど)、語らずとも相手の気持ちや心情、環境を推し量れるところがあるのだけど、それでもあのときの球麿子にどこまで律子の私生活が見えていたかはわからない。

だから私は、今の時代であってもやはり2人はああいう風にお別れをすると思うけれど、もし次に再会することがあったらとてつもない結びつきでもって互いを守ったり許したりすることができるんじゃないかと思った。

なんにせよ、(松本清張作品は読んだことがなく、映像化作品も初めての鑑賞だったのでこれだけで判断はできないけれど)あの時代に男性がこういった女性同士の連帯を描いたのは本当にすごい。

そして、八巻さんが記事の最後に言っていた「『女性同士は対抗し合うもの』などという愚かな思い込みが、いつか消え去りますように。」という言葉に私の祈りも添えたい。
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