一番に思ったのは、音楽がとてもよいなということ。
ずっとドラマティックで、作品を押し上げている気がする。
音楽と映像のマッチングって本当に難しくて、ちょっとずれているともう気になって仕方ないし、それでいうと今作は少し優しく感じる映像にも重厚な音楽を用いているのに場違い感がなく、相乗効果で作品を高みに連れてっているのがすごいなーと思った。
監督(先日あぶ刑事を見たばかりなのでテンション上がった)と映画ライターのSYOさんのトークショー付き試写会だったのだけど、サプライズで豊原功補さんまで登壇してくれて、ベテラン俳優と映画監督デビューから2作目の若手監督が話しているのは、なんだか記録にも残るイベントのような気がした。
今どきの監督らしく、同じシーンを何度も撮影されるのが特徴らしくて(「俳優さんは鮮度を保てるかどうか気にされるんですが、ちょっと鮮度が落ちてきたくらいのほうがいいときもあるんですよ」という言葉が印象的。あとフォローしておくと、本当にめちゃめちゃどのシーンも「必要なくない?」って俳優さんたちが飽きるほど何度も何度も撮影する監督さんもいるなか、原監督はちゃんと演者の集中力が保てる範囲でここぞというときしか複数回の撮影はしない、と豊原さんがおっしゃっていました)、あのラストの対峙シーンは6回撮影したそうだけど、その甲斐あって、という感じの印象に残る演技だった。
個人的には納得できない部分(というか台詞)もあったのだけど、たぶん原作どおりなのかなという気がする(原作は未読)ので、そこを除くと、映画自体はよかったです。
もうちょっとヒューマンドラマ的な展開かと思ったら、がっつりミステリーだったのは意外だけど、いや、よかったです。
正直先が読める部分もあったけど、たぶんそれは映画の見すぎなせいもあると思うし(たまにこうして、映画好きゆえに映画好きであることを憂うこともある)、邪魔にならない程度に撹乱してくれる演出もあって(そこで音楽の妙がぐっとくるわけで)、いわゆる社会派ドラマに属する作品だとは思うけど、いい具合にエンタメ性もあって、いやー原監督、2作目にしてこんなん撮れちゃうんだなーしかも1作目と全然テイスト違うし。すごー。