緑

疑惑の緑のネタバレレビュー・内容・結末

疑惑(1982年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

前科4犯の桃井かおりが殺人容疑をかけられて、
岩下志麻の弁護で無罪になる話。

桃井の表情や口調のだらしなさと、
基本キビキビしている岩下の対比。
桃井は瓶からだらだら、
岩下はグラスからバシャッという
ラストのワインの掛け合いは象徴的。
人間の両面を二分割したら
このふたりが出来ましたという印象。
分割しきれず両者ともに
万全以上に備えていたのは存在感。
桃井の態度が悪すぎて
気付くのが遅くなったが岩下の圧も半端なく、
特に中学生である仲谷の息子への
強かな口調の使い分けが怖かった。

富山地裁の裁判長の姿勢が偉い!
ちゃんと被疑者サイドの話や要求にも
聞く耳を持っているし、
無闇に却下しないし、
裁判官はみんなこうあって欲しい。

4台も車を潰して大掛かりな作りだが、
桃井は未決なのに刑務所にいたり、
留置所でもないのに自弁の鰻を食べていたり、
細部とは言いにくいところが雑で残念。
仲谷昇息子が弁護側証人として法廷に立つことを
あの身内連中が許可したことが最大の違和感。

若い頃の柄本明が
今の柄本佑にすごく似ていて、
遺伝子の強さを感じた。

桃井、本作公開時に30歳そこそこ。
それであのほうれい線かと思うも、
それがあるからこそ
このふてぶてしい役がはまったように思う。
本作の口調は真似したくなる。

仲谷昇といえば「カノッサの屈辱」
という世代なので、
こんなにがっついたりふわふわしたりの
仲谷を目にしたのは初めて。
もっと仲谷の出演作を観たくなった。

「ちょっとした喧嘩で刑務所」
「ちょっとした強請で刑務所」
という鹿賀丈史の物言いの矛盾に笑った。
本当にちょっとしたなら刑務所行かない!
鹿賀のチンピラさにドサ健を思い出した。
真面目な名古屋章に上州虎は思い出さず。

鑑賞後に読んだwikiでの本作エピソードで
松本清張の器の大きさを知った。
緑