genarowlands

女は二度生まれるのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

女は二度生まれる(1961年製作の映画)
3.8
川島雄三監督の描く風俗は、人々が生き生きしている。<今>を生きているから。でも、それは刹那にしか生きられない居場所のない<風>のようなもの。軽々と奔放に生きているようにみえる芸者小えんの横顔はなんとなく寂しげ。芸無し芸者、高級娼婦、ホステス、愛人を演じる若尾文子の色艶を堪能する作品でした。

タイトルの<二度生まれる>時を待っていたけれど、切ない終わり方でした。

パトロンのお父さん(山村聰)とも誰とも、真の人間関係が希薄で、絶望とは言えないけれど、決して希望や期待を持たずに生きてきた戦争孤児の姿としてとらえると哀れです。

<ふつう>の生き方に憧れても、堅実に生きることの難しさ、身につけたサガをわかっているから、小えんは落ち着けないような気がします。

芸者を描いた作品では、
溝口健二監督は「祇園の姉妹」で、決してふつうの幸せを与えず、不幸に落ちる女として描きました。
木下恵介監督は「香華」で、逆境を乗り越え、激しく生き抜く力強い女を描いています。
風のように移ろいやすい<風俗>に生きる女性を通りすぎる風のように描くのが川島雄三監督だと感じました。
genarowlands

genarowlands