《侍の映画》、Vol.10。『椿三十郎』。
この企画で黒澤映画3本目。
その中でもユーモアが存分に全快な作品だった。
ユーモアというか、もはやギャグ。
“押し入れ”の人質の件と、“合図”の件、この渦中の城代の奥方のキャラ含め、めちゃくちゃ笑った。冗談抜きで腹抱えて笑えた。
これを真剣に作り上げてる雰囲気。
むさ苦しい男どもが、鬼気迫る演技をしているからこそ引き立つ“抜き”。
この拍子抜けのユーモアが、ホントに腹抱えて笑える。
あの三船敏郎がうだうだとペースを握られてクダ撒かれてるのがおかしくて仕方がない。
そういう意味でまた1つ新しい一面が見えた武士の映画。
なのだが、なのだが、やっぱり三船敏郎のレジェンドさは一切廃れてなんかない。笑いのネタになってるわけではない。
今回は、加山雄三、田中邦衛と次世代の若手が登場。
冒頭から加山雄三の長台詞の井戸端会議から始まり、何だか和やかなムードで始まり、今まで観た2本はいきなり気迫にただただ圧倒されてたが、今回は「え?」って言うぐらい。
加山雄三の穏やかなスマイルで談笑、、、かと思いきや、、、出た、「ちょっと待ちな」。
暗闇から真打、登場。
この冒頭の三船敏郎の登場シーンは、DVDで観てても「よっ!」と言いながら拍手を送ってしまうレベルのシーン。
これ、実際、映画館で観てたら感極まってかも知れない。
お約束なのかも知れないけど、このカリスマ性、この男の登場を今か今かと心待ちにしてしまう。これだけでも観た甲斐があった。
加山雄三、田中邦衛がひよっこに見えるこのレジェンド、、、三船敏郎。
新進気鋭の若手も混ぜつつ、いつもの黒澤組の役者にもお会いできる、気迫あり、笑いあり、大衆エンターテインメントの塊みたいな映画。
最後の最後は三船敏郎と仲代達矢で〆る。
切れ味の鋭さハンパない。
これは良かった。