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テルマ&ルイーズのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

殺人を犯した女性2人組の逃避行を描いた作品。

映画の冒頭、中年女性2人の楽しい旅行が始まったと思いきや、テルマが酒場でレイプ魔に絡まれ、ルイーズが思わず射殺。
そこから2人の逃亡劇が始まります。

逃亡劇と言っても、あまり悲壮感を感じさせないのは、テルマとルイーズの凸凹コンビが良いからでしょうね。
しっかり者のルイーズと天然なテルマのやり取りは漫才コンビの様で、特にテルマはこの状況で男遊びをする楽天ぶり。
まぁ、これが後の悲劇に繋がるわけですが、テルマ側がキスを求める…女性が主体的に性を楽しむところは良かったし、ブラピが色男を演じているのも最高でした。

この一夜を経て、テルマが解放されたというか、エンパワーメントされ過ぎて、暴走していくのも面白かったな~。
いきなり強盗をしたり、夫の異変を一言で見切ったり、果ては警察まで脅す始末。
テルマの変貌ぶりには笑ってしまうくらいなんですけど、こんなにもユーモアのあるリドスコ作品も珍しい気がします。

テルマに感化されてか、ルイーズも大胆になっていき、遂にはタンクローリーを爆破。
「女性蔑視男への復讐」という意味では、『プロミシング・ヤング・ウーマン』を想起するところですが、あの作品に足りないものがこの作品にはありました。
やっぱり、復讐をするなら、これくらいのカタルシスがないとね。

そして、ラストは有名な崖からの飛び出しシーンへ。
握られる手、揺れる写真、踏み込むアクセルからの飛翔が何度見てもエモい!
普通に考えれば、そのまま落下死したのでしょうが、「もしかしたら無事だったかも?」という可能性もなくはないわけで。
「死んで責任を取るべき」と考える人も、「2人には生き残って欲しい」と考える人も、両方の想いに応える名エンディングだなと思いました。
ちなみに、別バージョンのエンディングは死んだと思わせといて、実は生きてました~というオチになっていて、それよりは生死を曖昧にした、このバージョンの方が正解でしょう。

フェミニズム映画の金字塔として名高い本作ですが、その評判に違わぬ名作だったなと。
スーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスの2人は最初から最後まで魅力的だし、ハーヴェイ・カイテルやマイケル・マドセンが見せる優しさも印象的。
女性の成長と解放を描いた物語は、この上なく痛快で本作を通して、エンパワーメントされる女性も多いはず。
現実では殺人も強盗も出来ませんが、せめて映画の中くらいは、こうしたハチャメチャな話を見たいものですね。
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