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テルマ&ルイーズのfumiyannのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
4.5
“もし、第1幕から壁に拳銃をかけておくのなら、第2幕にはそれが発砲されるべきである”
“誰も発砲することを考えもしないのであれば、弾を装填したライフルを舞台上に置いてはいけない”

–––そんな『チェーホフの銃』理論に漏れることなく乗っ取り、そのままレールに導かれるトロッコのように過酷な運命を駆け抜けていく2人の、いわゆる“普通の”女の子達。


ロードムービーですが、なんだか60年代のニューシネマのような破滅的な哀愁を感じさせる映画です。

でも、哀しい映画とはどこか違う。
哀しい中にも、運命を受け入れる覚悟や、それを背負うことで目の色が変わっていく彼女達を見ているとどこか吹っ切れたような美しさを感じます。

印象的なあのラストも含めて、人生においては長さじゃなくその密度が問われるんじゃないかということを考えさせられます。
稲葉浩志さんがある曲で
『命がけで駆ける 痩せた野生の馬のように自己(おのれ)のはかなさ 知れば知ってる程 息を呑むようなきれいな瞬間を生む』
と歌っていますが、まさに、その表現をお借りしたい。
初めて見たときからこのラストはどうにも頭から離れません。

あと91年という製作年も良いです。
この時代の映像の質感ってとっても懐かしさを感じて好きなんです。
まさに夜のTVロードショーで流れていたような。

名作です。
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