このレビューはネタバレを含みます
エデンの園とは程遠い乾き切った孤児院に忍び寄る死の影。得体の知れない何かは恐ろしい、目で見えるモノも目に見えないモノも。
初期デルトロ作品の中でも近年の作風に1番近いのが今作。
戦争孤児となった主人公は砂漠の真ん中にポツンとそびえる孤児院での暮らしを余儀なくされ、そこで出会う幽霊との交流物語かと思いながら見ていたがそういうお話でもなく。実態のない幽霊に怯える主人公だが、徐々に何故彼がそこに存在しているのかという好奇心が勝り正体を掴もうとする。
そんな中、院内では院長やその他の大人達によるメロドラマが展開されるが、子供の世界と大人の世界の視野の違いを見せてくるあたりはとてもデルトロ作品ぽい、というかパンズぽい。(初めて地下室に行くシーンもデルトロらしい絵作りで新しい舞台に踏み入れる絵が本当に上手い。)
不発弾と共に取り残された孤児院のメンバーが皆それぞれ希望のない世界に生きていて死者と殆ど変わらない生活をしている。いつか爆発するその日まで。。。
何も出来ず消えていった大人達の屍を乗り越え子供達は武器を手に檻から脱出し勝利を掴み解き放たれる。人生は環境に左右され大人に左右される事を改めて実感させられ辛い映画ではあるが、希望も少し残してくれてるのはありがたい。
切ないホラー作品として十分楽しめるが個人的にはもう少しオカルト要素である彼に美味しい展開を用意して欲しかったかな。