さわだにわか

虹のアルバムのさわだにわかのレビュー・感想・評価

虹のアルバム(1994年製作の映画)
4.5
タヒミックが息子を連れてカメラ片手に世界の映画祭を回るところから始まるのでホームビデオかと思いきやすぐさま逸脱、コッポラが出てきたり小川紳介(ボイス)が出てきたり自力で橋を建設しようとする部族のオッサンが出てきたり、許可を取っているのかどうかは不明だが「E.T」の音楽を被せたり自身が出演した「カスパー・ハウザーの謎」の映像を引用したり、新聞・ニュースをバシバシ切り貼りして撮影時の政治状況をダイレクトに記録・介入、ハンストに突入したり政治的言葉遊びに興じたりシャーマン宣言したり…しているうちにタヒミックから衝撃の一言。
「(息子に対し)お前の映画を撮ってるつもりだったのに変な方向に行っちゃったよ」そんな身も蓋もないこと言うなよとか思っているうちに映画、終わってしまった…。

タヒミックという人はいつも手にカメラを持っている。撮影期間10年というからその間に越境作家タヒミックが見聞きしたもの、考えたこと、感じたことが超凝縮されているのがこの3時間なんだろうな。「第三世界のスパゲティ・マシーン」で継ぎ接ぎされたブリコラージュ映画。まぁ色々あるが闘いは終わらないし人生は続く。素晴らしい。
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