Inagaquilala

マラドーナのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

マラドーナ(2008年製作の映画)
3.8
元ユーゴスラビアの出身で、カンヌ、ベネチア、ベルリンの三大映画祭を総ナメにした鬼才エミール・クストリッツァ監督が、毀誉褒貶相半ばするサッカー選手、ディエゴ・マラドーナの半生に迫ったドキュメンタリー。監督自身がマラドーナという人間に強い興味を抱いていて、自ら聞き手となりその心の内奥にまで斬り込む。映像からもそのクストリッツァ監督の入れ込み具合は如実に伝わってくる。

1986年のワールドカップのイングランド戦、語り草となった「神の手」ゴールはもちろん、伝説の「5人抜き」のドリブルなど、彼の鮮烈な印象に残るゴールシーンを織り交ぜながら、スキャンダルにも塗れた、このトリックスターの姿を描いていく。

エミール・クリスリッツァ監督とディエゴ・マラドーナの組み合わせは、最初とても意外に映ったのだが、この作品を観ていると、両者の間にある「神がかり」で「不思議」な共通性を次第に感じてくる。クストリッツァ自身もかなりサッカー好きなのかもしれないが、単なるサッカー選手のドキュメンタリーではないということだけは断言できる、興味深い作品だ。
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