囚人13号

罪の天使たちの囚人13号のレビュー・感想・評価

罪の天使たち(1943年製作の映画)
3.8
女子修道院という禁欲的な世界において「愛」が多層的な意味を呈する。表面上は無償の奉仕という院内のシスター/姉妹愛に落ち着けられるが、心の奥深くに根を張る執着心は他ならぬ性愛である。
ブレッソンのシネマトグラフはモノクロームというより世界に白黒しか存在しないような色調で、黒は覆しようのないヒエラルキー(頭巾の色)として提示され、光はその下(修道院内)で生きる者たちにのみ与えられる。

鏡の排された世界では己の存在を確認する術が奪われ、容姿の似通った者たちが往来する世界は秩序と服従関係に支配された感化院と並置される。
故に同じ神聖な空間であってもロッセリーニのように絶対的な信頼のおける場としては描かれないし、正義や倫理観より共同体に属するという妥協を理解できない者が炙り出される社会の苛烈さは後のブレッソン作品で更に鋭さを増していく。
囚人13号

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