Maoryu002

大列車作戦のMaoryu002のレビュー・感想・評価

大列車作戦(1964年製作の映画)
4.6
1944年のパリ。撤退が迫るドイツ軍のヴァルトハイム大佐(ポール・スコフィールド)は大量の名画を列車でドイツに運ぼうとする。地下組織の一員で鉄道員のラビッシュ(バート・ランカスター)は絵画に命を懸けることに懐疑的だったが、やがてフランスの宝のために妨害工作に乗り出す。

面白かった!
「影なき狙撃者」「RONIN」のジョン・フランケンハイマー監督による傑作戦争サスペンス。

全体的に、とても賢い人たちが作った映画だなーという印象だった。
レジスタンスとナチスドイツの駆け引きが絶え間く続いて、サスペンスとアクションのバランスも絶妙だ。

特に前半、みんなで敵を欺いて別の路線を進む作戦はめちゃくちゃ面白くて、ワクワク感が止まらない。
中盤では、厨房からトイレ、トイレから屋根裏、そして屋根の上へとワンショットで工作員を追っていくシーンの巧みさには驚かされた。
その後の「サブウェイ123 激突」「アンストッパブル」などの元ネタになったであろう列車の暴走や、英軍による爆撃も大迫力だった。

しかし、ロマンスは要らなかったんじゃないかなー。ジャンヌ・モローは必要だったんだろうか。
それにバート・ランカスターが無敵すぎちゃうのは気になった。
そもそも、何でドイツ人が英語喋ってんだ―!なんて。
ただ、それらを差し引いても十二分に楽しめる映画であることは間違いない。

そして、アクション活劇では終わらないラストにも唸らされる。
“何のために戦ったかわかるまい”という憎たらしいヴァルトハイムの言葉は、ある意味、真実だろう。この虚しさがまさに戦争の悲劇だ。
このあたりは、ウォルフガング・ペーターゼン監督の「U・ボート」を感じさせるものがあった。

この映画で最も賢く見えたのはドイツ軍のヘレン少佐。演じたヴォルフガング・プライスは、「史上最大の作戦」「パリは燃えているか」「遠すぎた橋」と、戦争映画のドイツ将校役に欠かせない俳優だ。
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