Kumonohate

でんきくらげ 可愛い悪魔のKumonohateのレビュー・感想・評価

でんきくらげ 可愛い悪魔(1970年製作の映画)
-
公開当時はそれなりの理由があったのかもしれないが、この「軟体動物シリーズ」、今見ると「いそぎんちゃく」と「でんきくらげ」と「しびれくらげ」の違いがどこにあるのか、さっぱり解らない。全部「いそぎんちゃく」シリーズでも問題無いし、全部タイトルが違っていても(ただし軟体動物で統一するべきではあるが)不都合は全く無いと思う。

それはさておき、本作における渥美マリは、様々な都会の職業とオトコを渡り歩くという設定で、その意味では、確かに軟体動物的である。しかし、一方で、そうした経験を経ることによって本人が成長していったり、彼女を映し鏡にヨノナカの醜悪さが描かれたりしているという点では、キャラクター設定がしっかりしており、続く増村監督の最終作「しびれくらげ」ほどでは無いにせよ、多分に甲殻類的であるとも言える。ドラマとしては安心して見られる一方で、渥美マリそのものからは、初期のぐにゃぐにゃした魅力が失われつつあるということだ。ただし、パンチラと下着姿の多さは(数えたわけでは無いが)本作がナンバー・ワンかもしれない。

それにしても、第1作の「いそぎんちゃく(1969年8月)」はともかく、「 続・いそぎんちゃく(1970年2月)」「でんきくらげ(1970年5月)」「夜のいそぎんちゃく(1970年7月)」「でんきくらげ 可愛い悪魔(1970年8月)」「しびれくらげ(1970年10月)」というハイ・ペースは尋常では無い。わずか1年半弱の間に、立て続けにカラダで主役を張った渥美マリは、1971年の大映倒産を経た後は、数本の映画とテレビドラマに出演したのみで姿を消す。一瞬の輝きで一世を風靡した妖しい花火だったのである。
Kumonohate

Kumonohate